BEST OF YOU!


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 喫茶店チェルシー。
ツトム「先輩…俺の人生、もう真っ白けっけになったジョーくらい終わっちゃいました〜。」
サム 「へぇ〜、あっすいません、コーヒーおかわりお願いします。」
ツトム「絡めよ!もうこれでもかって位にぐりんぐりんに絡んでくれよ!」
サム 「うっせえ、俺はしみったれた話と、汚ギャルが三度の飯より大っ嫌いなんだよ。」
ツトム「あっ今、三度の飯より嫌いって言ったな!ふざけんな、三度の飯よりゃ、俺に話の方がうめえっつーのー。」
サム 「んだとてめえ、三度の飯を馬鹿呼ばわりしたな。三度の飯を大馬鹿呼ばわりしたな!」
ツトム「そりゃもう、OLの臭い上司ランキングの上田部長くらい馬鹿にしてやったよ。ってか、おめえ三度の飯嫌いじゃなかったんかい!」
サム 「はっ!何言ってんだ、上田部長よりは三度の飯の方が好きだっつーの!もう、アイラヴ三度の飯だっつーの!」
ツトム「…」
サム 「ん、どーしたツトム。」
ツトム「…やまだ…」
サム 「ん、ごめん、よく聞こえなかった。」
ツトム「山田部長を馬鹿にすんなー!」
 ガシャン!カランカラーン。
店員「ありがとうございました〜。」
サム「勘定払えー!」










 ファミレス・フィレンツェ。
コージ「んでツトム、話って何だ。」
ツトム「コージ先輩…俺もう、母親からカントリーマアムの作り方を教えてもらえなかったフランスの女の子くらい終わっちゃいました〜。」
コージ「苺と練乳の春飾りパフェ、後ドリンクバー。」
ウェイトレス「はい、かしこまりました。」
ツトム「話聞けよ!」
ウェイトレス「ご注文繰り返します。」
ツトム「繰り返すなよ!」
ウェイトレス「あっ…あの…わたし…すみません…(泣)」
ツトム「えっいや、あの今のは、そんなつもりじゃなくて、その…;」
コージ「姉ちゃん、後は俺がこいつにちゃんと言っとくから、下がっときな。…悪かったな。」
ウェイトレス「し、失礼します…。」
ツトム「…。」
コージ「おいツトム、貴様は今しちゃあならねぇ事を、俺の前でしたな…。」
ツトム「…すみませんでした。」
コージ「俺の事はいい…だがな、繰り返させねえってのは、どーゆー事だぁ?!」
ツトム「へ?」
コージ「俺はあのウェイトレスの姉ちゃんに、いちごパフェって言って欲しかったぁ!!」
ツトム「えぇ?!」
コージ「おれはあのウェイトレスの姉ちゃんが好きだぁ!!」
ツトム「ええぇ!?」
コージ「どーなんだ姉ちゃん!?俺とコイツ、どっちを選ぶんだー!?」
ツトム「えええぇ!?」
ウェイトレス「…こっちかな?」
ツトム「ええええぇ!?」
コージ「やっぱりかー、ちくしょー!!」
 ウィーン…。
ウェイター「ありがとうございましたー。」
ツトム「あぁっ、ちょっと勘定ー!!」
ウェイトレス「あ…あのぅ、これ私の携帯番号です!」
ツトム「あっ、はい…うえぇっ!?」










 バー・レアルマドリッド。
ショーコ「どーしたのツトム君、いきなり呼び出して?」
ツトム 「ショーコさん…、何で俺の周りって、嫌いな事を三度の飯で例えるような馬鹿ばっかなんでしょうか(泣)。」
ショーコ「…サムの事;?」
ツトム 「まぁ、それもあります;」
ショーコ「サムと何かあったの。」
 ショーコさんとサム先輩は、付き合い始めてもう二年になる。サム先輩と同い年で、ツトムの一つ上。とっても美人だし、誰からにも好かれるし、皆の憧れって感じの正にビーナスだった。
ショーコ「なるほどねぇι、てゆーか何でサムなんかに相談しようと思うの。」
ツトム 「それは俺自身も疑問です。でもやっぱ先輩とはガキん時からの付き合いなわけで…なんだかんだで波長も合うよーな…ビールと枝豆っつーか、映画とポップコーンっつーか…。」
ショーコ「ふぅ〜ん、それで結局ツトム君の悩み事って何なの。」
ツトム 「えっ、あっ、いや…まぁ何つーか、男には一つや二つ隠し剣、鬼の爪っつーか…;」
ショーコ「…大丈夫;?」





 ツトムがサムと会う一時間前。
 カフェ・パルマ。
ツトム「なぁ、俺等ってやっぱ最高にグッドでナイスなキャピキャピのベストカップルだよなっ!」
イツキ「…そお?」
ツトム「オゥッ!そりゃあもう恋のハニカミプランもビックリ仰天のいちゃいちゃカップルだろ!」
イツキ「…ツトム、今私の表情どう思う。」
ツトム「ん?何言ってんだよイツキはいつもオールデイズ、オールマイティにべっぴんさんだよ!」
イツキ「…帰る。」
ツトム「えぇっ!!ち、ちょっと何でだよ。」
イツキ「ホントに解んないの?」
ツトム「え、え〜っと…ち、ちょっと待って考えるから;」
 二分後。
イツキ「チーン。時間切れ、バイバイ。」
ツトム「えぇっ!ち、ちょっとぉ、あっ解った今解った。はいは〜い!!」
イツキ「…何?」
ツトム「イツキの飼ってるハムスターにプロレス技きめて、ハムスターの前歯を折っちゃったからだ。」
イツキ「あれはお前がやったのかぁ!!」
ツトム「嘘ウソ冗談;、あっあれだ思い出した!はいは〜い…あれ?」
 そしてイツキは姿を消した。





ツトム 「…って事があったんですよ…。うわ〜んイヅギィ〜…。」
ショーコ「大好きなのねιってゆーかツトム君って彼女いたんだ。」
ツトム 「言ってませんでしたっけ;」
 ツトムとイツキは三ヶ月前に付き合い始めた。二人の出会いはその一ヶ月前にさかのぼる。












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 四ヶ月前、花見川大橋、上流。
ツトム「先輩たのむ!一万だけ、そんだけでいいから貸してくれっ。」
サム 「黙れバーロー!!俺は金を貸すのがマリオカートで最下位になる事くらい大嫌いなんだよ。」
ツトム「そこをさぁ、マジお願いします!貸してくれたら何でも言うこと聞くから、もうハチ公もびっくりして飼い主の顔を忘れちゃうくらい言うこと聞くから。」
サム 「んだとテメェ、お前ハチ公物語観た事あんのか!?セカチュウなんかで感動してる奴にハチ公の素晴らしさが解かんのか!!」
ツトム「あぁっ!今セカチュウを馬鹿にしたな。世界の中心で愛を叫んでる皆さんを敵に回したな!!」
サム 「あぁ馬鹿にしたね、ラズベリー賞も霞むくらい馬鹿にしてやったね。だいいち世界の中心って何処よ!?」
ツトム「あぁっ!何処ってオメェ…;」
サム 「何処ですかって聞いてんの」
ツトム「…ここ;」
サム 「あぁっ!?もっと大きく言えよ、聞こえねぇっつーの!」
ツトム「ここだっつってんだよ!もう中心も中心だね、ストラーイクって感じだね!」
サム 「…近。」
ツトム「今、ちかって言ったな!超期待はずれって感じで、近って言ったな!!」
サム 「…んじゃあ何だ、オメェここで愛ってヤツを叫んでくれよ;」
ツトム「えぇっ!?…ここで?」
サム 「ここで。」
ツトム「愛を?」
サム 「おぅ、愛を。」
ツトム「…;」
サム 「まさかオメェ出来ないのか!?」
ツトム「っ!!な…何言ってんだよ、{愛}世界ランキング5位だぞ俺は!!」
サム 「んじゃあ叫べよ。」
ツトム「…何を?」
サム 「愛だよ!!」
ツトム「わ、解ったよ!叫べばいいんだろ。んじゃあ行くぞ!」
サム 「オイ。」
ツトム「あぁ?今度は何だよ!?」
サム 「どーせなら、この橋の手摺りに上がって叫べよ。」
ツトム「えぇっ;」
サム 「えっ何、お前もしかして恥かしがってんの?」
ツトム「な、なー…何言ってんだよ。そんな訳ねぇだろ;」
ツトム手摺りに上がる。
ツトム「おーし、んじゃあ行くぞぉ!」
サム 「言っちまえツトムっ!」
ツトム「愛って何だ…!!」
 ドカッ!サム、ツトムを蹴る。
ツトム「ぎゃふん!!」
 ザッパーン!ツトム、川に落ちる。
 ………‥。
サム 「…あいつ、上がってこねえな。」





 繁華街・イタリアン通り。
ミコ 「ちょっとイツキ〜、ほんとにもう帰っちゃうのぉ。」
イツキ「ごめんっ、今日は動物奇想天外にチーター親子が出る日なんだ;」
ミコ 「そんなぁ〜…。」
イツキ「ゴメン!」
 ダッ!イツキ、走り去る。
ミコ 「あっ逃げた。イツキ逃げた!!誰かぁ〜。」





 花見川中橋、下流。
イツキ「はぁはぁ、ここまで来れば大丈夫だろ。」
 イツキ、川に目をやる。
イツキ「…さすがに今回は、ミコに悪かったな。…私って、やっぱさめてんのかなぁ。」
 …ツトムが浮いている。
イツキ「っ!!…あれ、もしかして人!?ドザエモンってこと!?だ、大丈夫ですかー!!」
 いつもの私なら逃げていたと思う。どうしてこの時、逃げないにしても警察を呼ぶなりしなかったんだろう。それは多分、私のつまらない日常に少しだけ刺激を求めたからだろう。

 イツキ宅。
イツキ「はぁはぁ…、何で私、水死体持って帰ってきてんだろ。」
ツトム「…うぅ。」
イツキ「っ!い…生きてる。チョットあなた大丈夫!?」
ツトム「ま…。」
イツキ「えっ?」
ツトム「ま…ママァ、このビスケットはチーターじゃなくて♀ライオンだよぅ。」
イツキ「な、なんだコイツ;…ん?」
 しょわわ〜。
ツトム「…ふぃ〜。」
イツキ「うわぁっ!し、しょんべんした。コイツ今絶対しょんべんした!」

 次の日。
ツトム「う…うぅ〜ん、ん?…何だここは、私は誰だ?…って俺はツトムやっちゅ〜ね〜ん。…マジここは何処だ。」
イツキ「…起きた?」
ツトム「うおっ!な、なんだねぇちゃん??」
イツキ「とりあえず、ここに座りなさい。」
ツトム「…はい。」
イツキ「あなたの服はいろんな意味でびしょびしょだったから、全部洗濯しちゃったんで。」
ツトム「はぁ、あのぅいっぱい聞きたい事はあるんすけど、とりあえず一つだけ聞いてもいいっすか?」
イツキ「何?」
ツトム「ねぇちゃんは一体誰だ。」
イツキ「あんたそれは命の恩人に聞く質問!?」
イツキ「だいたいねぇ、何で川に飛び込んだりしたのよ。」
ツトム「と、飛び込んだ!?」
イツキ「あんたマジで死に掛けてたんだからね!」
ツトム「し…死ぃ!?」
 これがツトムとイツキの出会いだった。





ショーコ「なるほどねぇ、そんな衝撃的な出会い方したんだ;」
ツトム 「そーなんすよ、もぅ何つーか、ロミオとジュリエットもびっくりっつーか、シドとナンシーもどっきりっつーか、オスカルとアンドレも大ショックっつーか…。」
ショーコ「オスカルとアンドレは衝撃的出会いはしてないよーなι、でも結局何で喧嘩しちゃったの。」
ツトム 「う〜ん、それなんすよねぇ;」










 イツキ宅。
イツキ「もしもしミコ?久しぶり〜、元気してた?」
ミコ 「う〜ん、イツキ?久しぶりじゃ〜ん。どーしたのこんな時間に?」
イツキ「あっ、ゴメン寝てた?」
ミコ 「当たり前じゃんよ。爆睡中だったよー。どーしたの彼氏と喧嘩でもしたぁ?」
イツキ「ま、まぁ;」
 三十分後。
イツキ「ってゆー訳なのよ。三時間よ三時間!!普通そんなに待ち合わせに遅れる!?だいたいツトムは話し方がキモイのよ。この前なんてさぁ…。」
ミコ 「グゥグゥ…。」
イツキ「…寝てるし!」
ミコ 「っ!あっ、やっゴメン寝てない寝てない。」
イツキ「…ハァ。」
ミコ 「…でもさぁ、イツキは彼氏さんのそんな普通じゃない所を好きになったんでしょ?」
イツキ「ま、まぁ好きってゆーか…、つまらなかったのよね、きっと…。」
ミコ 「つまらなかったって、彼氏さんが?」
イツキ「うぅん違う、ツトムに会うまでの人生が。」
 私はツトムが居れば毎日が楽しくなる気がしていた、初めて会った時のようにいつもスリリングなのでは、と…。
イツキ「…出会いが良すぎたんだよねぇ。」
ミコ 「えっ!?何が?」
イツキ「しょ〜がない、許してやるか。」
ミコ 「えぇっ?ごめん話が解んない;!」
イツキ「うぅん、ゴメンありがと。」
ミコ 「えっ何、解決したの??」
 何日か反省させたら、何事も無かったように笑って許してやろう。そう思った。










 サム・ショーコ宅。
ショーコ「ってまぁ、そーゆー訳なのよ。」
サム「ふぅ〜ん。」
ショーコ「ふぅ〜んって、それだけ?」
サム「えぇっ!それだけって…。」
ショーコ「ツトム君とはちっちゃい頃からの仲だったんでしょ。なに、ツトム君可愛くないの!?」
サム「えぇっ!いや、そんな事言ったって…まぁツトムも大変だなぁって。」
ショーコ「ツトム君はあんたに相談乗ってほしかったのよ!」
サム「んなっ!なんだぁそりゃあ;」
ショーコ「あぁもう、何であんたはいつもそう他人に無関心なのよ!」
サム「む、無関心って、そんな事ないぞ。道端で悩みを聞いて金もらってる兄ちゃん位、聞き上手だぞ!」
ショーコ「…あっそ;」
サム「えぇっ!何その反応!?」
ショーコ「じゃあツトム君に電話してあげて。」
サム「あぁ、解ったよ。」
ショーコ「…。」
サム「…えっ、今!?」
ショーコ「あったり前でしょ、早く!!」
サム「…あっやべえ、ランニングの時間だ。」
ショーコ「ち、ちょっと待ちなさいよ。」
 ダダダダダッバタンッ!
ショーコ「に、逃げやがった。」












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  港
  ザザーン。
  ツトムの詩。
   心はいつもかよわずに
   あなたとわたしはすれちがい
   人生所詮はひとりきり
   どんなに涙を流そうと
   あなたに心はとどかない
   わたしはあなたを愛してる
   そんな言葉もとどかない

ツトム「ふ…また素敵な詩を作ってしまった…。」
謎の女「素敵な詩ですね。」
ツトム「そうなんだよ。ステッキーなんだよ。って、お前は誰やねーん。」
謎の女「ふふふ、私は貴方の心の声が聞こえるの、宇宙人だから。」
ツトム「…(やばい、やばい人が出てきた。どうする、逃げるか戦うか、どうする!?)」
謎の女「ふふふ、冗談ですよ。」
ツトム「なーんだ、冗談かー。オダギリジョーもカード出し損ねるくらい悩んじゃったよ。って、ぜってーおかしいだろ!何で詩を作ってるって分かんだよ!」
謎の女「ツトムさん、色々大変でしたね。」
ツトム「そーなのよ、色々大変だったんさ…だから何で俺の名前知ってんだよ。何だお前、伊藤か!?エスパーか!もしくはその両方か!?」
謎の男「ツトム君騙されるな!!そいつは宇宙人なんかではない、偽宇宙人だ!」
ツトム「いや、別に騙されてはいないんだが‥てか、何であんたら俺の名前知ってんだよ!」
謎の女「ふふふ、そう、確かに私は宇宙人ではないわ…でも宇宙人であるあなたに何が解るって言うのよ!」
謎の男「そうだ…確かに宇宙人である俺に、君の事は解らない…。」
謎の女「そうよ、闇魔法結社ゲスダーの手によって偽デルタマンにされてしまった私の気持ちなんて、本物の宇宙戦士デルタマンであるあなたに解る訳無いのよ!」
ツトム 「ちょっと待てー!」
デルタマン「どうしたツトム君。」
ツトム 「どーしたもこーしたもそーしたも一体、あんたら何なんだよ!」
偽デルタマン「…そうね、用件だけ先に済ませてしまった方がよさそうね。」
デルタマン「…そのようだな。」
ツトム 「よ、用件て‥?」
偽デルタマン「それでは言わせてもらうわ、ツトム君。」
ツトム 「は、はい。」
偽デルタマン「わ、私は貴方の事が好きなの!!」
ツトム 「…はあ!?」
デルタマン「そして、オレは偽デルタマンが好きだー!!」
ツトム 「うえぇっ!?」
偽デルタマン「っ!!…そうだったの。」
デルタマン「…すまん、言い出せなくて‥。」
偽デルタマン「でも、ごめんなさい。私今はツトム君しか見えないの。」
デルタマン「そうか、わかった。オレはいつまでも待つよ!」
偽デルタマン「ごめんなさい。」
デルタマン「それではツトム君、我が相棒・デルタレディを頼んだ!」
ツトム 「何を頼んでんだよ?!てか何、デルタレディって!?いつ決まったのさ、ちょっとー。」
デルタマン「ハーハッハッハッハ…。」
 デルタマン颯爽と走り去る。
デルタレディ「…それでツトム君、答えをきかせて。」
ツトム 「えぇっ…は、はい。」
 ツトムはこの時、気付いていなかった。デルタレディが実は昼間に携帯番号を渡されたウエイトレスのお姉さん(名前はキヅキと言った。)であることを。そしてツトムは混乱の末に、その気も無いのにOKの返事をしてしまった…。










 それから一週間後。
 カフェ・ロナウド。
キヅキ「この前は突然ごめんね。驚いたでしょう。」
ツトム「え、あっうん、まあね。」
キヅキ「ツトム君、一応解っていると思うけれど、私の正体は‥。」
ツトム「わかってるわかってる、もうバッチリ誰にも言わないし、つーか言えっこないし。」
キヅキ「それもそうよね。」
ツトム「つーか、あのデルタマンとか宇宙戦士とかって一体全体何なんだよ。」
イツキ「説明した方が良いよね…。」
ツトム「えっ、いや別に言いたくないんだったら…。」
キヅキ「デルタマンはね、宇宙治安維持警察の特殊エージェントなの。」
ツトム「え、えーじぇんと…;」
キヅキ「彼はね、普段はロウシ・マコトっていう名前の地球人として生活してるんだけど、影ではゲスダーという宇宙規模のテロ組織と戦っているの。」
ツトム「げ、ゲスダー;テロ組織;!」
キヅキ「私は元々ふつうの地球の女の子だったんだけど、ある日ゲスダーにさらわれて偽デルタマンに改造されてしまったの。」
ツトム「へ、へぇ;」
キヅキ「最初はゲスダーの言いなりになって、デルタマンとも何度も戦ったけど、ある日ツトム君を初めて見たときに思ったの、私はやっぱり地球人なんだって!」
ツトム「そ、そーかい;」
キヅキ「それで今はゲスダーを抜け出して、ツトム君のよく来るファミレスでバイトしてるって訳。」
ツトム「そっからの展開はやたら早ぇなぁ;ってかそんな簡単に抜け出せちゃったんだ。」
キヅキ「もちろん抜け出すのは大変だったのよ、でもツトム君のおかげで頑張れたんだ!デルタマンも助けてくれたし。」
ツトム「お、俺のおかげって…;」
キヅキ「これで、だいたいは理解できた?」
ツトム「つまりマコトは正義の味方って事だ。」
キヅキ「ま、まぁ;」










 人気のない夜道。
怪人 「チュー!!」
イツキ「きゃあ!な、何よあんた!」
怪人 「なぁチュウしてくれよ!一回だけ、なぁ。」
イツキ「何なのよ一体。」
マコト「待てぇい!!」
イツキ「っ!?」
怪人 「き、貴様はロウシ・マコト!」
マコト「見つけたぞ怪人セップンラッタ!」
怪人 「ちっ、間の悪い奴め…今日の所は引くとしよう。」
 怪人、煙と共に消え去る。
マコト「待てぇー!…逃げ足の早い奴め。大丈夫ですかお嬢さん。」
イツキ「えっ、あっはい;」
マコト「女性の夜の一人歩きは危険ですよ、気をつけて下さい。」
イツキ「す、すいません;」
マコト「それでは帰り道お気をつけて!」
 マコト、去る。
イツキ「…何、何だったの一体;?」










 深夜のコンビニ前。
サム 「あれぇ、コージさんじゃないっすか。」
コージ「おぅサム、久しぶりだな。」
サム 「何してんすか、こんなトコで?」
コージ「…考え事だ。」
サム 「…そーっすか、そんじゃあ…;」
コージ「帰る気か?」
サム 「えっ;」
コージ「俺の悩みを聞きたくねぇのか?」
サム 「もちろん聞きたくねぇっす!ぶっちゃけラジオのAM位聞きたくねぇっす。」
コージ「そーか、…まぁ座れや。」
サム 「…;」
コージ「逃げたら殺すからな。」
サム 「…はい;」
コージ「サム、俺はダサイか?」
サム 「そりゃあもう、ミスドの制服の方がまだマシだと思うっす。」
コージ「そーか、…俺はモテないか?」
サム 「もし先輩がモテたらアンガールズなんか大フィーバーじゃないっすか。」
コージ「そーか、…俺は臭いか?」
サム 「この距離から一歩でも近づいたら、死ぬ自身がありますね。」
コージ「そーか、…俺はキモイか?」
サム 「出川哲郎も結婚しちゃいましたからねぇ、まぁダントツっすよ。」
コージ「そー…か。」
サム 「あれ、…もしかして先輩泣いてるんすか;」
コージ「な…泣いてなんかねーよ、今すんげぇデカイゴミが目に入ったんだよ!!」
サム 「いや、でも…。」
コージ「泣いてねぇつってんだろ!こっち見んなよ!!」
サム 「…でも先輩やさしいから、きっと良い人がその内現れますよ;」
コージ「止めて、悲しすぎるから…。」
サム 「…はい;」
コージ「ツトムの奴、彼女と喧嘩したらしいな。」
サム 「…らしいっすね。」
コージ「ツトムが今度付き合ってるコ、知ってるか?」
サム 「さ、さぁ知らないっす。」
コージ「前、俺が好きだったウェイトレスなんだよ。」
サム 「へ、へぇ〜;」
コージ「…人生ってマジ不公平過ぎだよな。」
サム 「いや、でもアイツもかなり馬鹿だし、第一そんなモテそうにも思えないっすけどね;」
コージ「お前はツトムとはかなり長い付き合いなんだよな?」
サム 「まぁ、ガキん時からっすからね、いやでも腐れ縁って感じっすよ。」
コージ「お前とツトムって何か似てるよな。」
サム 「ハァ!?いやいやマジやめて下さいよ;」
コージ「言いたい事はそれだけだ、じゃーな。」
 コージ、去る。
サム 「…あの人、自殺とかしねーよな。」










 サム、ショーコ宅。
サム「…ってな事があったんよ。」
ショーコ「ってか何、ツトム君今ほかの人と付き合ってるの!?」
サム「んな事はどーでも良い、何で俺とアイツが似てなきゃなんねーんだよ!」
ショーコ「似てるも何も、二人ともキャラおんなじじゃない。」
サム「何だと;」
ショーコ「…今まで気づいてなかったんだ;」
サム「ち、ちょっと待って、ちなみにどの辺が似てるんだ?」
ショーコ「変な例え方する所とか、つっこむ所がおかしいところ、それから自分以外にはけっこー無関心な所かな、まぁツトム君は可愛げがあるけどね。」
サム「俺には可愛げがないんかい…;」
ショーコ「それにツトム君は純情ってゆーか…。」
サム「俺は汚れてるってか…;」
ショーコ「いや、そこまでは;」
サム「そーだよ、どーせ俺なんか、うっかり肥溜めに落ちちゃった、うっかり八平だよ!!」
ショーコ「だからそーゆー所が似てるのよ;」
サム「…;」
ショーコ「それで、ツトム君が今付き合ってるコって、どんなコなの?」
サム「知んない、コージさんが好きだったウェイトレスって事しか聞いてない。」
ショーコ「あ〜もう、サム今からツトム君の所行くわよ!」
サム「俺も!?」
ショーコ「当たり前でしょ!!」






















 坂上公園。
デルタマン 「はぁはぁ…。」
怪人デスモクバ「クックック、デルタマンもこの程度か!」
デルタマン 「ちくしょう、公園に落とし穴を掘って子供に怪我させる、みみっちい怪人のくせに…。」
デスモクバ 「クックック、それは所詮第一段階、これから第二段階に入る所よ!」
デルタマン 「何だと!?貴様一体これから何をするつもりだ!!」
デスモクバ 「クックック、よかろう冥土の土産に教えてやる、ブランコのネジをゆるませて、乗った子供に大怪我をさせてやる!!」
デルタマン 「少年の空を飛びたいという願いを込めて作られたブランコのネジを…。」
デスモクバ 「クックック、どうだ驚いたか。」
デルタマン 「なんて卑劣な奴、許せねぇ…くっ、しかし傷が…。」
デスモクバ 「クックック、とどめだデルタマン死ねぇー!!」
デルタマン 「ちくしょう、こんな所で…。」
謎のヒーロー「オメガ・バーニングキーック!!」
デスモクバ 「ぐわぁー!!」
デルタマン 「来てくれたかオメガマン!?」
デスモクバ 「クックック…、俺はただ、もう一度だけ子供たちに木馬で遊んでもらいたかった…。」
 ドカーン!!デスモクバ散る。
オメガマン 「デルタマン、お前を倒すのは俺だ、それまで死ぬんじゃねーぜ。」
 オメガマン去る。
マコト「オメガマン…、いつもすまねぇ。」
イツキ「あ、あのぅ;」
マコト「っ!?」
イツキ「大丈夫ですか?」
マコト「こ、この前のお嬢さん!」
イツキ「大変!すごい傷だらけじゃないですか!」





 イツキ宅。
イツキ「ひどい怪我じゃなくて良かったですね。」
マコト「は、はぁ…あの、女性の一人暮らしであんまり知らない男性を部屋に上げるって、その…よろしくないかと…;」
イツキ「え…そ、そーですよね;」
マコト「あっいや、すごく感謝はしてますよ;!…あの、もしかして全部見てたんですか?」
イツキ「ま…まぁだいたい;」
マコト「だいたいって何処から!?」
イツキ「変な格好でバイクに乗って、馬みたいなきぐるみ着た人に突っ込もうとしてて、そしたら前にあった穴にバイクごと落っこちて、絶体絶命みたいになっちゃって、その時に仲間っぽい人に助けられ…。」
マコト「…もう良いです;」
イツキ「あの…もしかして泣いてません?」
マコト「な、泣いてなんかないっすよ…そのなんてゆーかゴミが!」










 ツトム宅。
 ピンポーン…。
ショーコ「ちょっとツトム君、居るんでしょ?お願いドアを開けて、ツトム君?」
ツトム「…え〜、ツトムは只今留守にしております、ピーという発信音の後に…。」
ショーコ「居るんじゃないのよ!何で入れてくれないの?」
ツトム「…もぅ、そっとしといて下さい、ツトム君はもうガリガリゴリゴリに疲れてしまいました…。」
ショーコ「何言ってるのよ、自分でまいた種でしょ!」
ツトム「お願い、もぅこれ以上ツトム君をいじめないで…ツトム君がかわいそう。」
ショーコ「超・他人事にするつもりね;…とりあえず中に入れて、ねぇ?」
ツトム「ツトムは只今…。」
ショーコ「うるさい!!」
ツトム「先輩はいないみたいっすね。」
ショーコ「サムは連れて来ようと思ったんだけど…。」
ツトム「逃げられたんですね。」
ショーコ「ま、まぁ…;でもサムなんかいない方が話しスムーズに進むし!」
サム 「だーれが居ないとスムーズだぁー!!」
ショーコ「きゃあ!さ…サム何処行ってたのよ!」
サム 「オゥ!ちょっくらパトロールにな。」
ショーコ「嘘つけ!」
サム 「…;ってかオイ、ツトムー!ドア越し会話とはテメェ殿様かっちゅーねーん!!」
 ドンガラガッシャーン!!サム、扉を蹴り壊す。
サム 「シャーッ!!ツトムは何処さ〜!」
ショーコ「テンションたか…;」
サム 「なーに閉じこもって腐ってんだコラ!お前は何だ、あれか、熟成丸大豆醤油か!?お婆ちゃん風味の漬物か!?ゲームの封印されてたラスボスなのかー!!」
ショーコ「例え長っ…」
ツトム「ってかオイ、扉ブッ壊れたじゃねーか!アンタは昭和の熱血デカか!?」
サム 「うっせー!女の事なんかでベコベコにへっこみやがって、そんなんだからオメェはリサイクルペットボトルなんてあだ名がつくんだぁよ!」
ツトム「えぇっ、嘘マジで!?」
ショーコ「ついてないって;」
ツトム「なんだコノヤロー普通にびびったじゃねーか!」

 一時間後。
サム 「だーれがマンモス西だコラ、そんな初登場以降いまいち見せ場のないサブキャラなんかで俺を表現すんな!!」
ツトム「んじゃあさっき言ってた俺が醤油ってのも取り消せ!俺は気持ちソース派だ!!味噌よりコンソメだ!連邦よりジオンだー!!」
サム 「その例えに連邦とジオンは関係ねぇだろ!!」
ショーコ「ってかもぅ、あんた達一旦だまりなさい!!」
ツトム・サム「っ!!…はい;」
ショーコ「もぅ、最初の内容と完全に趣旨違っちゃってるじゃないのよ;」
ツトム「…すいません;」
ショーコ「…もう疲れちゃった、帰るわよサム。」
サム 「えっ…あ、はい」
ショーコ「ツトム君、ちょっと元気になったみたいだから安心したよ。」
ツトム「は、はい」
ショーコ「ツトム君は、これじゃあ良くないって解かってるから苦しんでるんだよね?」
ツトム「…はい。」
ショーコ「だったらツトム君らしく素直に行動したら良いと思うよ…じゃーね。」
ツトム「…あの、ショーコさん先輩。」
ショーコ「ん、何?」
ツトム「ありがとうございました!」
サム 「オゥ!じゃーな。」
ショーコ「ツトム君、頑張ってね。」
 サム・ショーコ去る。
ツトム「…ってか扉直せよ!!」
 その夜、決心した、キヅキにイツキのことを話そうと、イツキに精一杯あやまろうと、そして確信した、扉がないと夜やはり寒いこと、自分が米よりパン派であること、そしてイツキが大事な存在であることを。










キヅキ宅。
謎の男 「久しぶりだな、キヅキ。」
キヅキ 「っ!貴様はゲスダー総司令。」
ゲスダー「そう構えるな。今日はお前を迎えにきたのだよ。」
キヅキ 「…迎えに来ただと?私はもうゲスダーとは縁を切ったはずだ。」
ゲスダー「縁を切った…か、だが解かっているんだろうな?」
キヅキ 「何の事だ?」
ゲスダー「お前は所詮、我々が作り出した改造人間だという事をだよ。」
キヅキ 「…。」
ゲスダー「…一緒に来るだろう、キヅキ。」





 イツキ宅。
マコト「それでは、そろそろ失礼します。」
イツキ「え、あっはい、気をつけて下さいね。」
マコト「ハハハ、安心して下さい、こんなのかすり傷ですよ。」
イツキ「まぁそーなんですけど…;」
マコト「それでは!」
 マコト去る。
イツキ「ほんとに大丈夫かな、あの人ドジっぽいし;」
 ガシャーン!!
イツキ「きゃあ!」
怪人 「見たぞ見たぞ見えちゃったぞぅ!さてはお前デルタマンのアレだな!?」
イツキ「な、何よあんた!ってゆーかアレって何よ!!」
怪人 「あ、アレってお前…こ、こいび…これ以上言わせんなー!!」
イツキ「きゃあー!!」
 その夜、この街で二人の女性が行方不明になった。そして数日後、マコト宛にある手紙が送られて来た。










 マコト宅。
手紙 「前略マコト様、貴様の愛しい恋人イツキは我々ゲスダーが預かった。お返しされたくば、ゲスダー秘密基地までご訪問を闇魔法結社ゲスダー一同、心よりお待ち申し上げております。ゲスダー総司令より。」
マコト「…酷い、酷すぎる文章だ…同じ宇宙人として恥ずかしい;どうせ地球を侵略したいなら、せめて日本の手紙くらいまともに書けんと格好つかんだろぅ。…とゆーかイツキって誰だ?恋人??とゆーか秘密基地知ってたらとっくに潜入してるだろ…住所書いてあるし;」
オメガマン「絶対に罠だぜデルタマン。」
マコト「…来ていたのか、あぁ解かりやすい罠だよな。」
オメガマン「それでも行くんだな?」
 この時、正直な所かなり行きたくなかった。しかしオメガマンを含むもろもろの人達の期待は裏切れなかった。オメガマン、せめて「危険だぞ!」って一言、止めに入って欲しかった…。
マコト「あぁ、…こんな時にデルタレディは何処行っちまったのかな…。」
オメガマン「やけに弱気だな、お前らしくねぇ。」
マコト「…それじゃあ、行って来る。」
 マコト去る。
オメガマン「…さて。」






















 イツキと連絡が取れなくなり、キヅキは姿を消したため、今まで以上にツトムは落ち込んでいた。決意が堅かったぶん、かなり落ち込んでいた。
 ツトム宅。
ツトム「…風…寒いなぁ」
サム 「おめぇまだ腐ってたんか」
ツトム「うおっ!?先輩;」
サム 「ドアなかったから勝手にじゃましたぜ」
ツトム「あんたが壊したんでしょ」
サム 「…;」
ツトム「んで何の用っすか?」
サム 「お前、イツキちゃんの居場所知りたいか?」
ツトム「えっ、ってか知ってるんすか!?」
サム 「あぁ、俺は宇宙人だかんな」
ツトム「嘘つけ」
サム 「…;今までお前にも黙ってたけど…」
ツトム「先輩もしかしてボケてんのか?」
サム 「…;実は俺…」
ツトム「もしボケてんだったら柳沢シンゴ位うぜぇんだけど」
サム 「…そこまで言うか;」
 ピカッ!!サム、オメガマンに変身する。
ツトム「えっ;…ええぇっ;」
オメガマン「これで解ったか?」
ツトム「せ、先輩?な…なんでだよ;」
オメガマン「お前のミクロな脳みそでは状況を理解出来ないのはよーく解る、だが理解しろ!!」
ツトム「めちゃくちゃだ、存在全てがめちゃくちゃだ;」
オメガマン「イツキちゃんはゲスダーに拉致された、つー訳でツトム助けに行け!」
ツトム「んなっ!?」
オメガマン「安心しろ、秘密基地の住所は解ってるからよ」
ツトム「じ、住所…秘密基地に住所;」
オメガマン「まぁしかしお前は弱っちぃ、蟻ん子VSヒョードル以上の差がある」
ツトム「馬鹿にしすぎだろ;」
オメガマン「そんな超雑魚なお前にドラエモンも見習いたい素晴らしいアイテムをくれてやる」
ツトム「…なんだこれは?」
オメガマン「光線銃だ!これ一発でどんな強敵だってあの世逝きだ。」
ツトム「スゲェ!!んで何発打てるんだ?」
オメガマン「一発だ!」
ツトム「へ?」
オメガマン「本当は百発だが、充電し忘れた」
ツトム「何だよそれ!?じ、じゃあさこの際キヅキみたいに改造してくれよ!!」
オメガマン「…本気か?」
ツトム「あぁ、覚悟は出来てる、イツキの為だったらどんな痛みだって耐えてみせる!」
オメガマン「無理だ馬鹿、いくらかかると思ってんだ一生サラ金に追われるぞ」
ツトム「…;金かかんだ;」
オメガマン「ほらさっさと行け軟弱貧乏野郎!気持ち良く死んで来い」
ツトム「死んでほしいのかよ!?」
 秘密基地は自宅から以外にも歩ける距離だった。トンネルの中に扉があり、鍵も見事に空いていた。ってかオメガマン、オメェは来ねぇのかよ。





 ゲスダー総本部(秘密基地)。
 その頃デルタマン。
デルタマン「デルタパーンチ!!」
 怪 人 「グワァー!!」
デルタマン「はぁはぁ、さすが秘密基地、わんさか怪人が現れやがるぜ;」
 謎の男 「とうとうここまで来たな」
デルタマン「ムム!?誰だ貴様!!」
 謎の男 「俺は貴様のDNAとゲスダーの化学力を結集して造られたスーパー改造人間ガンマンだ!!」
デルタマン「が、ガンマン…!早撃ちが得意そうだな」
ガンマン 「あぁとっても早いぜ、なんたって俺の…」
デルタマン「デルタファイアー!!」
ガンマン 「ぐわぁぁー!!」
デルタマン「残念だったな、俺の方が早かった!」





 その頃ツトム。
ツトム「…なんだかとってもスムーズにこんな奥の方まで来てしまった;俺より先に襲撃した奴でも居んのか?」
 ふと、嫌な予感が頭をよぎった、もしかして…いや、まさか…大掛かりなドッキリか!?
ツトム「いくら先輩が暇人でも、そんな今時流行らない事はしねーか;…否ある…今まさに大ブレイク真っ只中のやつが…サプライズ!!…しかしなんの為に?…誕生日はまだ先だしなぁ;」
 ちなみにもう、突入時のドキドキ感など微塵も残っていなかった。しかし今、違う感覚が体を包んでいる。そぅ、期待という名のワクワク感が!!
ガンマン「ちくしょうあの野郎、不意打ちとはやられたぜ;ムムッ!あんなとこに人間が…こうなったらアイツでうさばらししてやる」
ツトム「ムムッ!あんな所にウエスタン風の悪キャラが!」
ガンマン「人間よ、間の悪い時に出会っちまったな、悪く思うな…」
 バキューン!!ツトム、レーザー銃を撃つ。
ガンマン「ぐはぁ!!」
ツトム「残念だったな、俺の方が早かった」
ガンマン「皆…みんな大っ嫌いだ…」
 ドカーン!!ガンマン撃破。
ツトム「はーはっはっは、シャキシャキ進むぞー!うまく驚いたフリ出来っかなぁ〜」
キヅキ「…ツトム君?」
ツトム「っ!!キヅキ無事だったか!?」
キヅキ「な、なんでツトム君がこんな所にいるの!?」
ツトム「なーに言ってんだよ、イツキを…じゃなかった二人を助けに来たんじゃない;;」
キヅキ「…そぅ、私は大丈夫、イツキさんはこの奥でまだ捕まってるわ」
ツトム「オッケー解った、じゃあね」
 ツトム去ろうとする。
キヅキ「ちょ、ちょっと待って、一人で大丈夫なの?」
ツトム「だーい丈夫だって、なんたって俺は今まさに旬のノリノリなスーパーヒーローだぜ」
キヅキ「そぅ…じゃあ頑張ってね」
ツトム「おぅよ、まかせとけ」
キヅキ「ツトムくん一言だけいい」
ツトム「ん、なに」
キヅキ「…これドッキリじゃないからね?」
ツトム「へ?…わ、分かってるよ;」
 ツトム去る。
キヅキ「…」






















 その頃、イツキは牢屋で看守の怪人ベルケロスと一緒に居た。
 イツキ 「…」
ベルケロス「…すまねぇなぁお嬢ちゃん、こんな狭い所に閉じ込めちまって」
 イツキ 「…」
ベルケロス「…ワシは昔、とある豪邸の番犬だったんだよ」
 イツキ 「…番犬?」
ベルケロス「今は改造されて怪人になっちまったんだけどよ」
 イツキ 「…改造;」
ベルケロス「その豪邸にはお嬢ちゃん位の娘さんが居てな、よく可愛がってもらったなぁ」
 イツキ 「…はぁ;」
ベルケロス「ここの怪人達にも皆それぞれ色々とあったんだよ」
 イツキ 「…そーなんですか」
ベルケロス「使われなくなった公衆電話に撤去された公園の遊具、カメラが付かなかった携帯電話に結局流行んなかった犬型ロボットなんてのも居る…皆それぞれ心に傷を背負ってんだ」
 イツキ 「…」
ベルケロス「…長話しちまったな、忘れてくれ…」
 デルタマン登場。
デルタマン「デルタキーック」
 イツキ 「っ!!」
 ドカッ!
ベルケロス「ゲフゥ!!」
ドカーン!ベルケロス撃破。
デルタマン「お嬢さん無事ですか!」
 イツキ 「えっ、あっ…まぁはい;」
デルタマン「それは良かった」
 イツキ 「…;」
デルタマン「ん、どーかしましたか?」
 イツキ 「えっ…いや別に;」
デルタマン「それでは早く脱出をしま…」
 ツトム 「オラァー!!」
 ドカッ!
デルタマン「ぐわっ!」
 イツキ 「ツトム!?」
 ツトム 「大丈夫かイツキ!?えっ色々されたって、てんめぇイツキに何をしたぁ!!」
 イツキ 「なに勝手に話し進めてんのよ、この人は私を助けに来てくれたのよ!」
 ツトム 「えぇっ!?ややっ、良く見たらお前はデルタマン;」
デルタマン「や、やぁツトム君」
 イツキ 「てゆーかなんでツトムがこんな所に居るのよ!?」
 キヅキ 「皆そろったようね」





 キヅキ登場。
 ツトム 「キヅキ!」
デルタマン「デルタレディ無事だったか!?」
 イツキ 「ツトム知り合いなの?」
 ツトム 「えっいや、あの;」
 キヅキ 「ツトム君?一つ聞いていい?」
 ツトム 「えっ?あー…うんいいよ;」
 キヅキ 「私とイツキさん、好きなのはどっち?」
 ツトム 「えぇっ!?えぇ〜っと;」
 イツキ 「ちょっとツトムどーゆー事よ!?」
 ツトム 「いや、その;後で、後で話すから!!」
キヅキ・イツキ「今!!」
 ツトム 「あーもう;キヅキは好きだ!イツキはもっと、もーっと大好きだぁー!!」
 イツキ 「…」
デルタマン「…」
 キヅキ 「…そぅ」
 ツトム 「ごめんキヅキ、あん時おれスゲェ混乱してて…」
 キヅキ 「良いのよ、解ってたから」
 ツトム 「…そーなんだ;」
 キヅキ 「ゲスダー総司令は私が倒したわ」
デルタマン「本当かデルタレディ!」
 キヅキ 「えぇ、そして私が新しい総司令になったの」
デルタマン「何ぃ!?」
 キヅキの後ろから怪人が大量に現れる。
 キヅキ 「やっちまいな」
 怪人 「グオォー!!」
 怪人達が襲い掛かってくる。
デルタマン「っ!!みんな後ろに下がってるんだ」
 プシュー!
 キヅキ 「っ!?なんだこれは;」
 白い煙があたり一面を覆う。
オメガマン「間に合ったようだなぁ」
 ツトム 「先輩!!」
 キヅキ 「っ!!貴様はオメガマン!?」
デルタマン「来てくれたか」
オメガマン「ツトムちゃんとケジメつけたみてーだなぁ、ってかデルタマン毎度おめぇを倒すのは俺だって言ってんだろーがよ」
 怪人達 「ぐわぁー!!」
 キヅキ 「っ!?どーしたお前達;貴様ぁ、一体何をした!?」
オメガマン「宇宙警察で開発した最新の対怪人用神経ガスだ、普通の人間には無害だが、怪人は力が麻痺して本来の姿に戻っちまうぜ」
 ツトム 「そんな物まで作れんだ;」
 怪人1 「身体がヨーヨーに戻ってゆくぅ〜」
 怪人2 「嫌だミニ四駆に戻るなんて嫌だぁ〜」
 キヅキ 「お前達;き、貴様等ぁ!」
オメガマン「観念しな、改造人間であるお前にもガスは効いてるはずだ、お前はもぅただの超可愛いって評判のウェイトレスの姉ちゃんなんだよ!!」
 ツトム 「評判だったんだ;」
 キヅキ 「…くぅ」
デルタマン「デルタレディ…もう止めるんだ、頼む…」
 ドカーン!!
 イツキ 「きゃあ!」
 建物が崩れ始める。
 ツトム 「な、何だ何だ;」
 キヅキ 「私が仕掛けたの、もうすぐこの建物は崩れるわ、皆さっさと逃げなさい」
オメガマン「てめぇ、どーゆー事だ!!」
デルタマン「…デルタレディ」
 ツトム 「キヅキ何でだよ!?」
 キヅキ 「私にはツトム君しか居なかったの、最初っから解ってたのに、ツトム君が私の事なんて別に好きじゃないって…なのにフラれるのが恐かった。 フラれて何にもなくなる位なら…やっぱり私は所詮、ゲスダーの改造人間なのよ。たとえ変身出来なくなったって人間に戻れた訳じゃない…私は人を傷つけ過ぎた。 早く皆逃げてもういつ崩れるか…」
デルタマン「オメガマン、ツトム君達を建物から逃がしてくれ」
オメガマン「解った、…お前はどーするんだ?」
デルタマン「デルタレディ…いや、キヅキとここに残る」
 キヅキ 「っ!?」
オメガマン「…解った、でも一つ言っとくけどなぁ、お前を倒すのは…」
デルタマン「オメガマンだけだろ」
オメガマン「…外で待ってんぜ、二人ともさっさと来い!」
 ツトム 「…キヅキ」
 イツキ 「…ツトム」
デルタマン「ツトム君、お嬢さんが君の事を待ってるよ、早く行ってあげなさい」
 イツキ 「…」
 ツトム 「…デルタマン、キヅキの事は頼んだ!!ごめんイツキ遅くなっちった!」
 イツキ 「そーよいっつも、いっつもアンタは…」
 ツトム 「いや、だからもうすぐ崩れんだって;」
オメガマン「デルタマン、地上で会おうぜ…」
 ツトム、イツキ、オメガマン去る。






















 キヅキ 「…」
デルタマン「…」
 キヅキ 「仲…良さそうだったね二人」
デルタマン「…あぁ」
 キヅキ 「羨ましいね」
デルタマン「あぁ、羨ましいな」
 キヅキ 「私ね、お嫁さんになるのが夢だったの」
デルタマン「…そっか」
 キヅキ 「子どもは元気な男の子が理想だったのよ」
デルタマン「…」
 キヅキ 「でも、もぅ私きっと子供なんて産めない身体なんだろーね」
デルタマン「…全部叶えてみせるよ」
 キヅキ 「…嘘」
デルタマン「俺がキヅキの夫になる、いや、むしろ結婚してくれ!!それに銀河系全ての化学力を結集させてでも普通の人間に戻してみせる!!」
 キヅキ 「もぅ止めて…」
デルタマン「俺が理想の男性じゃないなら、努力する。絶対一人ぼっちにしないし、すぐバレるから嘘もつかない!モテないから浮気の心配もないし、力仕事は得意だし…え〜と;」
 キヅキ 「ホントにもぅ止めて!!早く逃げてよ!!あなたは私の為に死んじゃ駄目なの!!」
デルタマン「それでも俺はキヅキの為に死にたいから、キヅキの為に生きたいし、キヅキを守っていきたいから」
 キヅキ 「…何で?」
デルタマン「俺キヅキが好きだから!!」
 キヅキ 「…うん、知ってたよ」
デルタマン「…そっか」
 キヅキ 「もぅ逃げても間に合わないね」
デルタマン「…助かりたい?」
 キヅキ 「あなたと一緒なら助かりたい」
デルタマン「…ありがとう」
 ゴゴゴゴ…。
 二人、抱き合ったまま瓦礫に埋もれる。





 秘密基地の外。
 ツトム 「…」
 イツキ 「…間にあわなかったね」
 ツトム 「あぁ、完全に崩れ落ちゃったな」
 イツキ 「…」
オメガマン「…せめて二人を瓦礫から出してやろう」
 ツトム 「あぁ」
デルタマン「デルタアッパー!!」
 ドカーン!!デルタマン瓦礫を吹っ飛ばす。
 ツトム 「へ?」
 イツキ 「…そんな;」
デルタマン「やぁ皆、待たせたね!」
オメガマン「今回はマジで死んだと思ってたぞ;」
 イツキ 「…嘘ぉ;」
 ツトム 「どこまで無敵なんだよ;」
デルタマン「残念だったな、俺は約束を守る男なんだ。…キヅキ」
 キヅキ 「ん?」
デルタマン「言っただろ、お前の望む事は全部叶えてやるって」
 キヅキ 「…うん」
 ツトム 「ん?デルタマン、何か様子がおかしいぞ;」
 デルタマンが光り始める。
 キヅキ 「大丈夫?」
デルタマン「あぁ、今回は少し力を使い過ぎたようだ、これから僕は仮の姿(マコト)でもない真の姿に戻るだろう、驚かずに見届けてくれるかな?」
 キヅキ 「うん」
 ピカッ!!………。
 ツトム 「…んな馬鹿な…」
オメガマン「…マジかよ」
 イツキ 「…?」
 キヅキ 「…これが…あなたの本当の姿…」
 コージ 「そうだ、これが俺の本当の姿だ!」
 ツトム 「…ってか、コージ先輩じゃないっすか;!?」
 イツキ 「ツトム知り合いなの?」
 ツトム 「知り合いも何も、ガキん時から俺の先輩だよ;えぇ〜チョット待って〜;」
  コージはウェイトレス(キヅキ)が好き。
  デルタマンはデルタレディ(キヅキ)が好き。
 ツトム 「あぁっ!ホントだ、まぎれもなく同一人物だ;!!」
 コージ 「…がっかりした?」
 キヅキ 「…」
 ツトム 「うん!すげぇがっかりした!!だって後半ちょっとデルタマンをカッコ良いって思っちゃったもん!うわぁ〜マジかよ〜;」
 イツキ 「ち、ちょっとツトム;」
オメガマン「俺なんかこいつをライバルだと思ってずぅーっと助けてたんだぞ!!うわぁ〜マジでテンション落ちた」
 コージ 「…お前等そこまで言うか;」
 キヅキ 「私は…私は全然へいきだよ!」
 コージ 「…キヅキ」
 キヅキ 「ずっと私の事、見守ってくれてたんだね、すごく嬉しい!」
 コージ 「…」
 ツトム 「…あれ、先輩もしかして泣いてるんすか;」
 コージ 「な、泣いてねーよ;すごいでかいゴミが目に入ったんだよ!!










ふぃん
 


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