エスケープ 世界壊滅関係ナシ


 PAGE LAST










 あの日は人生最悪の日だった。地球防衛軍には追いかけられ、謎のヒーローに正義の名の元に成敗されかけ、日本男児な国際派ハンターに殺されそうになり、味方は怪しい暗黒宗教集団だけだった…。一つ質問しても良いかな?…俺のせい?
 運命の日の前日までツトムは予備校に通うごく普通の浪人生だった。去年の春に片思いの娘を追い掛けて上京し、その娘の入った某有名大学を目指し晴れて浪人生となった。ある日、代々木駅で厳ついスーツ姿のグラサン二人組に声をかけられた事で、彼の平凡は崩れ去る。

スーツ男@「ヒイラギ・ツトム君だね?」
 ツトム 「…はぁ、そうですけど、何か?」
スーツ男A「我々はこういう者です」
 ツトムは名刺を一枚うけとった、名刺にはこう書いてあった。[東日本暗闇メルシー会(ひがしにほんくらやみめるしーかい)・東海道支部布教代表取締役、念無・サムエルスキー二郎(ねんむ・さむえるすきーじろう)]。
ツトム「…」
 何故、東日本なのに東海道支部なのか…、それは本題とは無関係なので置いておこう。とにかくツトムは名刺を読んだ瞬間にとてつもなく怪しい者に捕まったのだと気付いた。
スーツ男@「我々は決して怪しい者ではありません」
 心から怪しいじゃないか!もちろんツトムにそんな事は言えなかった。
スーツ男A「我々メルシー会はあなたを救うために来ました。あなたはまだ気付いていないかもしれませんが…」
 ガシャン!その時ツトム達の目の前で専門学校生が一人車に跳ねられた。それを合図にしたようにツトムは二年ぶりくらいに全力で走り出した。
スーツ男@「あっ、君待ちなさい!」
  新宿・ギャップ前。
 よくここまで息が続いたものだ。そんな事を考えながらツトムは何か達成感を味わっていた。ギャップ前の四、五段ほどあるちょっとした階段に座り、とりあえず一服しようとラーク・マイルドに火を付けたが、この日ツトムに一服できるような暇はなかった。
謎の声「天知る地知る人が知る、闇にまぎれず悪を絶つ!人は私の事をこう呼ぶ。デルタマンと!」
 ドゴゥ!その謎の声が聞こえた瞬間、ツトムの横にあった柱は粉々に砕け散り一人の全身タイツ姿の男が奇妙なポーズを決めていた。
ツトム「…」
デルタマン「遂に見つけたぞ悪の元凶!闇の支配者!平成の大魔王!堕天使アモン!謎のテロリスト!ディアボロス!混沌の神ぃ!!」
 そのセリフを言いきったデルタマンは妙に満足げな空気を醸し出し、その空気はツトムにまで伝わってきた。
ツトム「……」
デルタマン「フフフ、私の力にかなり恐れおののいた感じだな。そもそも私がこの能力を何故手に入れたかと言うと…」
 気を良くしたデルタマンは驚いているツトムに向かい気が付けば夕暮れ時になってしまう位、長々と話し始めた。もちろんツトムにそんな長い話を聞いているような余裕などなかった。
 10分後。
デルタマン「…とまぁその時だ!…ムム!あの野郎どこ行ったぁ!」
  日本地球防衛軍[鉄壁]オフィス。
総理大臣「…本当にこんな少年が世界を…?」
予言者 「はい、それは確実です。彼を中心にしてカオスが広まっています。このまま彼を野放しにすれば世界が滅ぶのも時間の問題でしょう」
総理大臣「コクトウ君、君の意見を聞かせてくれ」
コクトウ「我々地球防衛軍の推測では午前十時現在の彼を中心としたカオスは半径約二百五十メートル。日が沈むにしたがいカオスの拡大は急速に早まりますので、今から約二十三時間で地球全体をおおうと思われます」
総理大臣「それで、今現在までの被害は?」
コクトウ「はい、カオスの範囲内での事件や事故は今の所、山手線内で5名、代々木駅付近で1名、新宿駅で102名との事です」
総理大臣「ひ、102名だと!?それは一体どういう事だ」
コクトウ「はい、デルタマンと名乗る謎の男が新宿駅ビルの柱を破壊し、その飛んで来た破片により52名、その騒ぎに訪れた野次馬に押されたり踏み付けられた人達がおよそ50名との事です」
総理大臣「デルタマン…また奴か」
 総理大臣は頭を抱えたまま言った。デルタマンが日本に登場したのは今回が始めてではない。一年前、ある銀行に強盗が押し入った事がある。その時もデルタマンは銀行内にいきなり乱入し、銀行内は大混乱になった。混乱した強盗達は銃を乱射し、終わってみれば生存者はたった一人…そぅ、生き残ったのはデルタマン一人だけだった。その時、デルタンは言った、「たしかに沢山の被害は出してしまった、しかし見ろ!この子犬は命がけで守ったぞ!!」と…。バスジャックが起きた時も、デルタマンは犯人ごとバスを10bほど蹴り飛ばし、犯人、人質ごとバスを粉々にした。1の事件を100の被害で終わらせる、それがデルタマンだった。
兵士「失礼します、ターゲット(ツトム)は歌舞伎町に入った模様です」
予言者「っ!?いけません、あそこは…」
コクトウ「早く隊を歌舞伎町に回せ!!」
  歌舞伎町。
ツトム「はぁはぁ、なんなんだっつーんだよ今日は」
 その時、大混乱のツトムに一人の黒人が話し掛けて来た。
黒人「ヘイ!ユーはツトム・ヒイラギだな?」
ツトム「えっ…あ〜あいきゃんと…!?ってか何で名前知ってんだよ!?」
黒人 「ハッハッハ、まさか本当にこんなボーイだったとはネ〜」
ツトム「ぼ、ボーイって…;」
黒人 「おっと、まだミーの名前を言ってなかったネ、礼で始まり礼で終わるのがジャパニーズコミュニケーションだったサ」
ツトム「…はぁ;」
黒人 「ミーはニッポン大好きネ、ミーの名前は[ミフネ・M・ゲイン]と申しますヨ」
ツトム「ミフネって…;」
 するとミフネは懐から銃を取りだし、ツトムに向けた。
ツトム「えぇっ;ち、ちょっと!!」
防衛軍「君達は完全に包囲されている、武器を捨て我々の指示に従いなさい!」
ミフネ「チィ、邪魔が入ったネ」
ツトム「な、ななな…なんだこりゃあ」
 ツトムが気付いた時、周りには武装した兵士とテレビでしか見た事がないような装甲車でうめつくされ、頭上にはヘリコプターが飛びかっていた。ツトムは思った、人質にされた…気がついたら人質にされてしまってた!!そしてミフネはあたりまえの様にその軍隊に発砲した。
バンッ!バンバンッ!!
ツトム「っ!?」
兵士 「発砲、発砲、応戦許可!全兵士発砲用意!!」
ツトム「ち、ちょっと俺が…人質がいるんだって!!」
 ドグァンッ…!!鈍い轟音とともに装甲車と兵士数人が宙を舞った。
兵士 「車両大破!!衛生兵、衛生兵!!」
ミフネ「…アンビリーバボーですネ」
ツトム「な、なんだ!?今度はなんだ!?」
デルタマン「歩行者たちの往来を邪魔する不届き者どもめ!日本国憲法が許そうと、この私が許しはせんぞ!!」
 ツトムは思った、また奴か…と。
デルタマン「むむっ貴様ぁみつけたぞー!!」
 ツトムを見つけたデルタマンは、兵士を文字通りけちらしツトムに突っ込んできた。
デルタマン「死ねぇ、デルタパーンチ!!」
 ツトム 「う、うわぁー!!」
 ガキーン…。
 ツトム 「…へ?」
デルタマン「我輩の必殺パンチを受け止めるとは、貴様何者だ!?」
 ミフネ 「なかなかナイスなアタックだったネ、さすがはジャパニーズ・スーパーマンですナ」
 ツトム 「た、助かった…」
デルタマン「貴様が何者かはこのさい置いておこう、しかしこの男を庇ったという事は何だそーいう事か!?」
 ミフネ 「ミーはただ一人の相手をメニーで襲うのが嫌いなだけヨ、ブシドーじゃないネ」
デルタマン 「貴様ぁ我輩の正義を侮辱する気か!!」
 そしてミフネとデルタマンによる壮絶な戦いが始まった。その壮絶さと言ったら、あまりの激しさにヘリコプターは墜落し、装甲車は大破炎上し、兵士達は木っ端微塵に吹き飛んだ。辺り一面は血の海となり、正に血で血を洗う地獄絵図となった。
兵士1「足が、足がぁー!」
兵士2「衛生兵、衛生兵ー!?」
兵士3「退却、全兵士速やかにその場から撤退しろー!!」
兵士4「しっかりしろ、大丈夫か!?」
兵士5「隊長殿…自分はもう駄目であります、…どうか妻に愛していた…と」
兵士4「おいっ…しっかりしろー」
女の子「ママァ、ねぇママァどうして動かないの?ねぇママァ」
兵士6「我が隊は全滅いたしました…かくなる上は我が身をもって償いたく…」
女の子「ママァ…」
 ドドゥッ…ゴゴゴゴ…
ツトム「うわぁ!!ち、ちょっ…誰か助け…」
 ツトムはあまりの恐ろしさに動けなくなっていた。その時だった、誰かがツトムの名前を呼んだ。
スーツ男「ツトム君こっちだ早く!ついて来るんだ!」
ツトム 「えっあ、はい!?」
 ツトムは訳も解らずそのスーツ男について行った、ただ助かりたい一心で…。ツトムがその場からいなくなり、10分ほど経過した頃、ようやくミフネがツトムがいなくなった事に気付いた。
 ミフネ 「オゥ、どーやらターゲットをロストしてしまったヨーネ、ヘイッミスタースーパーマン!ミーはそろそろバイバイするのネ」
デルタマン「何だと貴様ぁ、逃げる気か!」
 ミフネ 「…一応ミーの名前は名乗っておくヨ、ミーの名前はミフネですネ」
デルタマン「ミフネ…あっ貴様、待てぇ!!」
 ミフネとデルタマンが去った後、歌舞伎町は今までの姿を失っていた。そこには瓦礫とうめき声、そして悲しみが残った。
  鉄壁オフィス。
 兵士 「報告します…ぶ、全部隊の内9割以上が壊滅、ヘリ装甲車両共に全て大破されました」
コクトウ「ご苦労、下がって良し」
 兵士 「ハッ」
総理大臣「こんなに早くこれほどの事態が起きるとは…」
コクトウ「総理、隠している事がありますね」










■■ To be continued. ■■

PAGE TOP↑  ↓PAGE LAST
×CLOSE
HOME

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送