君の詩












 子猫がある時問い掛けた。

 わたしはあなたを癒すけど あなたはわたしを癒せない
 それでもわたしはここにいる
 それは何故だか知っている?

 僕はすこし考えてから答えた。
 「僕はきみに餌を与えてるし、寝る場所だって与えてる。不自由をさせたつもりはない」
 子猫はその答えを予想していたようだった。

 食べ物なんて誰かがくれる 寝る場所なんて路地でいい
 不便はなくても自由がない
 それでもあなたを見捨てない それはなぜだか知っている?

 「ちょっと待て!今、見捨てないと言ったか?」
 僕は子猫の言ったその言葉に怒りを隠しきれなかった。
 「ふざけるな、おまえは僕に飼われてるんだぞ。なんで僕が見捨てられなきゃならない?」
 子猫は言った。

 あなたはわたしを解れない
 それでもわたしはここにいる
 あなたを好きになりたいの

 僕はすこしの間、次に発する言葉を捜した。
 「じゃあどうすれば僕を好きになってくれる」
 子猫は哀しそうな顔をして、僕に寄り添った。
 …そういうことだった。






―君のうた
 





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