奴の名は乱桜・叫華












 わたくしは平成のお蝶婦人、愛と混沌の使者、希望を絶望に変える女、神を足蹴に飛び立つ天使…。その名も乱桜・叫華!(ミダレザクラ・キョーカ)テニス部 の主将を勤めておりますの。
 わたくしには憎き敵がいますの、その名もシンヤ。偽りと偽善に身を包み、甘い声で人を陥れ、舌を二枚持ち、腹は黒く、ヘソは醜く歪み、鼻はニョキニョキ良 く伸びる人類史上最低最悪の男。
 奴とわたくしが初めて出会ったのは忘れもしない数年…いや二日前…。

 二日前。
学校のパン屋。
店員「え〜、DX焼きそばパンがラスト一個となりました〜」
キョーカ「その焼きそばパン、わたくしが頂きますわ!」
 キョーカ、パシッと焼きそばパンを取る。
キョーカ「ホーッホッホッホ、このパンは誰にも渡しませんわ!」
シンヤ 「そのパン待った!」
キョーカ「何奴!?」
シンヤ 「お嬢さん…残念だがそのパンは僕のだ!」
キョーカ「いきなり何を血迷った事を…」
シンヤ 「普段の僕であれば、レディーファーストの精神で君にそのパンを譲っただろう…しかし、ある理由の為、今回は譲る訳にいかないのだ」
キョーカ「譲る、譲らないはともかく、今このパンはわたくしの手にありますの。それは詰まる所わたくしの物って事で御座いますのよ」
シンヤ 「残念だが、それは違う」
キョーカ「何ですって…?」
シンヤ 「その袋、ちゃんと見てごらん」
キョーカ「っ!?…これは」
 パンの袋には確かに書かれていた、[二年C組シンヤ]と。
シンヤ 「予約だ!」
キョーカ「予約ですって!?…そんな…そんな良心的かつ便利なシステムがパン屋に…」
シンヤ 「昔の偉人の言葉を覚えるのは良い事だが、現代の素晴らしさにも目を向けるべきだったね」
キョーカ「ふっ…、わたくしの完敗のようね、わたくし乱桜・叫華は静かに去るわ」
マコ 「シンヤ〜、ごめんあたしやっぱりチョコ・コロネがいい、もう焼きそばパン買っちゃった?」
シンヤ「ふっ、気まぐれ屋のマコだからそうくると思ってたよ、ほらチョコ・コロネ」
マコ 「ありがとシンヤ!」
 もちろん購買のパン屋に予約制などなかった。そのお陰でわたくし大恥をかきましたわ!…許せん、いつか必ず奴をひざまずかせてやりますわっ!
 こうして、キョーカとシンヤによる美しき戦いの矢が放たれた。





― お し ま い ―
 





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